Spare Times

暇な時に書きます

「紙・Web論争」さっさと終わらせて、地道に働いた方がいいよ(たぶん)

正直、もう何十年皆様が仰っているのかは皆目見当がつかないのですが、編集者にしろライターにしろ、コンテンツを紙で出すかWebで出すか、じゃあどっちの方がレベルが高いかという議論、というよりもむしろ、やっかみや見下しとか懐古主義的優越論がいまだに続いているような気がします。

 

当方はかつてマスと呼ばれていたメディアのひとつ、「雑誌」という媒体から社会人生活を始めました。その頃確かにあった言説としては、Web? ああ、あれね(笑)というような諸先輩方の風潮です。この時点で意味がよく分からなかったのですが、なんとなくそうなんだなと聞き流していました。

 

社会人2ヶ月目には広告代理店がローンチしたWebメディアに、会社に黙ってジョイン(かっこいい)して、そこで外部編集者・ライターとして働いていましたし、また別のメディアでは編集者を外部委託でやっていました。社会人デビューをしてすぐ、当方はどちらの編集者にも、どちらのライターにもなりました。

 

学生時代から本もWebも読んでいたので、優劣はないと思っていました。紙の出版社を志望した理由は、Webよりも長く紙の本に親しんでいたというのと、ゆるやかに死んでいく業界だったので、そこでもう少し足掻けないか、という悪あがきのためでした。大変な中で活路を見つけ出す作業って、とても面白そうですよね。

 

その時点でですが(学生の認識的には)、Webメディアというものはおしゃれでカッコイイという風潮があり、僕を除く多くの同級生はIT・Webの会社でコンテンツを作りたいと言っていましたし、実際に彼彼女らはWebメディアの会社・運営会社に就職していく。この時点では、「まだ紙で消耗してるの? 」というまなざしが、紙の出版社志望に向けられていたわけです。

 

やはり社会にコミットして現場を見ると、学生時代に考えていたこと(紙が良い)は少しづつ変わります。会社として直接Webメディアの方々や、Webオンリーで書いているライターさんとご一緒することはありませんでしたが、結局辞めるまでの2年間はハフポが入ってきそう、もしかしたらバズフィードも上陸するんじゃない? といった世間話を楽しくしていました。

 

仕事が煮詰まった午前3時の編集部で広告記事を作っていた上司と当方は、「オモコロ」の思考法すごい、これは良い意味で紙ではできないけど、いずれ紙でも「オモコロ」のような見せ方ができれば良いねと話し、まさにインターネッツ、Webメディアには新しいアイデアがたくさん眠っていると、むしろ紙媒体の人にとってWebメディアは希望でした。

 

この時点でももちろん、Web軽視という考えすらありませんでしたし、雑誌と連動したWebサイトを持っていましたが、そこのPV/CCが伸びないです〜と泣きつかれて、載せるコンテンツを紙から流用したものではなく、Webに最適化させるようにしたり、SNSでは僕の入社前の3倍にフォロワーを増やしたりしました。

 

Facebookで自分のポストはアベレージで1000いいね、2万リーチくらいはしていた気がするので(うろ覚え)、こういうやりがいと、読者からの即レスは雑誌では絶対に楽しめません。インターネットの時代には雑誌は合わないものだと思い、その時から僕は雑誌に少し見切りをつけるようになりました。だって機能が同じで無料で読めるとかサイコーじゃないっすか、スピード感もあるし。

 

そんな気持ちは、外でやっていたWebメディアの編集でも感じていました。書けばすぐにお金がもらえるし(その雑誌社は外注ライターに翌翌々月支払いをしていましたから)、新しいメディアだから色々尖った展開をしていこう、既存の出版社にはできないような展開をと言われて、当方としてはWebメディアの時代になると思っていましたし、今もそう思ってします。もちろん、Web・紙をどちらもやっているので、どっちも頑張って欲しいというのが個人としての願いなのですが……。

 

そんななかでまだWebを軽視して、アガリが紙だとか言っている人がいるそうですね。ライターのアガリが編集者並に意味が分かりにくい言説です。価値観は人それぞれだから口を挟むつもりはありませんが、敢えて挟ませてもらうとすると、コンテンツを入れる容器の話をするには、まだあまりにもタイミングが早すぎますということ。

 

それと、過渡期から成熟期に向かう途中のWebと、成熟しきってしまった紙のメディアを比較して、二項対立的な図式に持っていく意味も分からない。

 

成熟し切った媒体だとこれから腐っていくだけなので、まだ支払えるお金はたくさんあるでしょう。大きな山を登っていて、ちょうど富士山でいう9合目くらいまで来ているWebメディアはこれからピークを迎えるでしょうから、紙が腐ったタイミングとWebがピークに達したタイミングでこれは入れ替わります。

 

おそらく、おそらくですよ。今現在Webを軽視しているフリー編集者やライターは、今現在のことしか見えてないから、原稿料、制作費はやっぱり紙の方が良いよなあと言うわけです。現在を謳歌していることは非常に良いことなのですが、いずれ変わっていく世界ですからね。この時代、大きなお金を売り上げている大手出版社〜準大手を除くと、他は割と大変なことになっています。知っていますか。

 

そしてWebはきちんと単価が上がっています。紙では1ページ1万円のところもあります(安いです)。紙にいけばアガリというのはどういうことなのでしょうか。皆が皆大手と仕事はできませんし、大手とできそうになったとしても、依頼が来るのはその下請け、というのも数多くあります。そんな状況にも関わらず、「あーやっとWebから紙に上がれたわ〜」という人たちは遅かれ早かれ消えていく気がします。ああ、さようなら。過渡期にあって、旧来的なものを信望するのはご勝手でしょうけど、たぶん未来はないと思うのが僕の考えで、そんなにズレていないかとは思います。

 

アガリとか都落ちとかいちいち言わなくても、自分がやりたいことをやれば良いと思うんですよ。誰かが、Webはまだ下だみたいな言説を作っていくから対立構造ができあがっていくわけでしょう。で、反対にいるWebライター・編集者は、それはムカつきますよ。逆に言えば、紙に載ったからアガリ、○○ライティングや聞き書きができて本になる! 新書を作ることができるようになるからアガリ、と言っている人と仕事をしたい人は減っていくでしょうね。

 

結局のところ、二つの媒体を優劣でみるのは頭があまり良くないことだと僕は思うわけです。仕事の優劣を言いたいんだったら結果を見せてもらって、それで言ってください。あと、紙を悪くいわれたからムカつく、Webを悪くいわれたからむかつく、と思っているそれぞれの編集者のみなさんは、こういう論争さっさと終わらせて、地道に働いた方がいいと思います。